院長日記

第14話 中国の美容外科事情


昨日、友人の中国人医師が5年ぶりに尋ねて来られました。彼は、第1期の日中交換留学生ですが、現在中国で外科医として活躍されています。
私が初めて中国(香港ではなく)を訪れたのは、十数年前になりますが、植毛手術の技術指導と言う事で深釧の外科医院に招かれてのものでした。最低限必要な治療機具や薬剤は準備していたのですが、前日、6例の手術が入っていると聞かされて唖然としたのですが(2~3例との事だったはずなのに)、中国全土から手術依頼があり、これでも6件に制限したと。ただ物理的に不可能なので、3件にしてもらいましたが、当日、ホテルの部屋からロビーへ降りて行くと、何やらテレビカメラが数台待ち構えていた事と、手術に対する清潔不潔の意識の低さに、かなり辟易したのを覚えています。
その後、漢方薬を使用したピーリング(天然痘による皮膚の修復を目的とした研究はかなり古くより行われていたようで)の件で何度か南京を訪れたり、二重瞼の手術や隆鼻術について、上海のとある医科大学を訪れたりと、少なからず中国とは縁があるのですが、ここ5年間は訪れる機会がありませんでした。当時は、美容外科の専門医院などほとんどなく、まだまだひどい状況でしたが、この数年で、美容外科の学会が設立されたり、国際学会が開催されたりで、恐らく(私自身、学会等にあまり興味がないほうなので、中国での学会に参加していないので正確ではないのですが)大きく進歩してはきていると思います。
現に、中国製の薬剤や治療機器もかなり入ってくるようになっていますから(何やら怪しいものも多いのですが)。
冒頭の中国人医師の言うには、確かに美容外科の専門医院は急速に増えたが、豊胸手術で胸がカチカチに硬くなっていたり、不自然な二重瞼手術があまりに多いとの事でした。それは恐らくこう言う原因じゃないか、こうすればよい事なのにと、話しは大いに盛り上がり、また機会があれば中国を訪問しようかなあ、と思った一日でした。