院長日記

第93話 BNLS注射と呼ばれるものと脂肪融解注射の違い


「BNLS注射で小顔になれますか?」、「私の場合は脂肪融解注射の方がよいのでしょうか?」といった質問が日常的に寄せられるので、両者の違いやそれぞれの適応等、少し触れておこうと思います。
まず、脂肪融解注射と呼ばれるものについてですが、これはフォスファチジルコリンという薬剤を皮下脂肪層に注入する方法になります。その機序については、早々簡単に説明できるものではありませんが、思いっきり大雑把に言いますと、皮下脂肪の脂肪細胞膜がダメージを受けて、脂肪細胞が減ずるとイメージして頂いてよいかと思います。
大抵の場合、1週間から2週間毎に4回程度の注射を繰り返す事になります。多少の腫れは出るかと思いますが、腫れ上がるほどのものではありません。
次に、BNLS注射と呼ばれるものですが、これも所謂メソセラピーの一種で、輪郭注射などと呼ばれたりもしていますが、サポニン、αリノレン酸、チロシンなどの成分によって、血流やリンパの循環を促進させる目的と、アデノシン三リン酸、ジナトリウム二リン酸、海藻の一種であるヒバマタ等によって、脂肪の分解や代謝を促進させる目的のものを組み合わせて使用する方法です。
これも1〜2週間毎に4回程度繰り返し行ないます。注射後の腫れはあまりありません。
上記二つの治療方法は同じように思われますが、経験上、ただ単に皮下脂肪層の厚みを減ずる目的だけであれば、前者の方法が優れているように思いますし、顎周囲のタルミの改善などには後者の方が効果的かと思います。
そこで、「BNLS注射で小顔になれますか?」のご質問についてですが、まず、“小顔”と言う非常に曖昧な言葉にいちいち対処したくはないのですが、顔の骨格を変えるわけでは到底なく、“小顔”と言われてもそのような期待を持って上記の治療は受けられない方が良いかと思います。
顔を少しシャープに見せる、といった期待感であれば十分治療効果は望めるかも知れませんね(他にも、幾つも治療方法は考えられますが)。
注:今現在、これらの注射薬について、特にBNLS注射、輪郭注射と呼ばれるものについては、フェイクドラッグ(酷似製品)が多く見受けられます。
中には相当問題のあるものも実在しているようです。ご注意下さい。