院長日記

第96話 ハイドロジェルと呼ばれる注入剤の除去


20年近く前に、有名な某美容外科でこめかみにハイドロジェルを注入した方の話です。
注入後、こめかみの膨らみ方が少し異様で、触れると動くのもあって、精神的にそれがかなりの負担らしく、ただ自己責任の念が強い方で長く辛抱していたようです。
当院へ来院される前に、他院で診察を受けられていて、画像も撮られていましたが、切開して掻き出すしか出来ないと診断されたそうです。注入しているものが何なのか本当のところは分からないのですが、ただ恐らくは注入剤は皮膜に包まれていて組織浸潤等はなさそうだったので、注入剤の粘稠度を下げる処置をした上で何とか取り出せるのではないかと判断しました(経験上の勘がほとんどですが)。
後日治療に来院されて、無事取り出すことが出来ました(切開などせずに)。

〈左〉取り出した注入剤、〈右〉生理食塩水を加えて液状化した状態
注入剤については何度も書いてきましたが、はるか昔のシリコン等の肉質注射と呼ばれるものや、最近では主に中国と韓国で注入された全く訳のわからないもので組織浸潤を起こしているもので、取り出すのに難儀する場合はありますが、注射器による陰圧で取り出せる場合がほとんどです。
かなり長期に渡って持続すると謳っている注入剤で、その安全性が確立されているものなど私の知るところでは全く存在しません。それらを煽って勧める施設での施術は本当に慎重であって下さい。