奇妙きてれつな事に、現在、日本美容外科学会と言う全く同じ名称の組織が二つ存在します。そして、敵対関係が続いていて、そのために、日本医学会分科会に加入できずにいます。外からみれば侮蔑の目で見られて仕方のない状況が続いています。
日本では昭和初期の頃から、二重瞼の手術や、鼻を高くする手術等が手掛けられていたようで、1948年に財団法人日本美容医学研究会が設立されています。
元来、在野の外科医、耳鼻科医、眼科医、整形外科医等が脈々と育てあげてきた総合医学としての美容外科ですが、1978年、念願かなってかどうか、診療科目として美容外科が認可され、同時に日本美容外科学会が誕生しています。その数カ月後に摩訶不思議な事に、全く同名の学会が設立されています。
実は、1975年に診療科目として形成外科(その定義を見れば明らかで、美容外科とは全く区別されていますが)が認可されていますが、この担い手である形成外科医によって設立されました。このような事が世間で通用する事なのか疑問でなりませんし、形成外科医でなければ美容外科医にあらずと言う、へんちくりんな形成外科医がいまだに存在します。
外科医にあらずんば形成外科医にあらず、と言っているのと同レベルで、元来その定義からしてはっきり区別されているものですし、もっとはっきり言えば、脂肪吸引手術に形成外科の手法は全く必要ありませんし、豊胸手術はまだ胸部外科のほうが近いですし、二重瞼の手術は眼科とオーバーラップします。脱毛やケミカルピールにいたっては全く別物です。更に付け加えれば、上記のような形成外科医は、どうも美容外科なるものを軽蔑しているふしがあるのですが、糊口をしのぐため何がなんでも美容外科を手中にしておきたい、と言うのが本音でしょうね。事実、大手の美容外科と言われる施設でその技能を学んでいる形成外科医はたくさんいるのですから。
ただ、以上のような事は、受診者の方にはどうでもよい事ですし、逆にねじ曲った情報が伝わって混乱をまねく場合もあるようです。
そのためにも、同名の学会の存在(まったくもって意味がないので)は早く解消されないといけません。