院長日記

第65話 マンマのシリコンバッグが破れているので金返せ?


豊胸手術に関連した項目で何度か書いていますが、人工乳腺と呼ばれるシリコンバッグは、現在幾つかのメーカーが製造していて、幾つかの種類が存在するのですが、昔(20数年前までですが)は、製造メーカーは一社しかなく、種類もひとつ(サイズは幾つもありましたが)でした。
非常にやわらかく、その感触は申し分ないのですが、バッグを形成しているシリコンの膜が非常に薄くて弱く、10数年経過すると、少しずつ内容物であるシリコンゲルが浸み出るように(膜が裂けている場合もありますが)出てくる可能性が非常に高いのです。
当院でもこの数年来、このような症状の方をとても多く診ています。
上記の製造メーカーのシリコンバッグに比して、現在供給されているものは(中には酷い物もあるのかも知れませんが、すぐに淘汰されるでしょうが)、非常に頑丈に作られていて、恐らく人の一生といった期間では、まず問題はないものと思われます。
実は、昨年当院で豊胸手術を受けられた方が、挿入したシリコンバッグが破れているので金を返せ!、と電話があって、今日来院されました。
お話を伺うと、友人の付き添いで行った他のクリニックで、たまたま診てもらったら(嘘か本当か判りませんが)、左側のバッグが破れている、手術時に挿入したドレーンで破ったんじゃないか、と言われたようで、すごい剣幕でした。
当院では、豊胸手術の際にドレーンバッグの挿入は行わないし(全く必要がないので)、診察してみても、な~んにも問題はなく、非常にきれいな仕上がりのバストでした。
当人は、そのクリニックで言われた、“破れている”、“手術時のミス”と言う言葉に全く冷静ではなくなっていて、非常に失礼な事を言っているなどとは到底思いもよらない様子でした。
どうも、更にもっと大きなバストを望んでいる(現在も相当大きいのですが)当人を前に、当院を上手く貶しながら、お金を返してもらったらもっと大きなサイズにしてあげる、等と企んだあまりに低レベルな魂胆としか思えないような話でした。
このようなクリニック、大凡予想はつくのですが、まあ引っ掛かる当人も当人ですね。
いつもよい受診者の方に恵まれていて感謝していますが、たまに、こういう方にも出くわします。