院長日記

第70話 傷跡を作れ?との依頼


長くこの仕事をしていると、以前書いたような事(第23話:傷跡を目立つように、との依頼)があったり、その他傷跡を残す、目立たせるような依頼も数例経験しましたが、先日もまた同じような依頼がありました。
日本でエンジニアをしておられるタイの男性ですが、出身地がカンボジアとの国境沿いの某村で、来年、その生まれ故郷に一時的に帰る必要があって、その村では、顔やカラダにどれだけ大きな傷跡があるかが男の値打ちらしく、きれいな顔だと、親族等まで嫌な思いをするらしいのです。
ある方からのご紹介でしたし、何度かご本人からも詳しいメールを頂いていて、決して不真面目なものではありませんでした。
出来ればお受けしたくないものですが、非常に熱心に訴えられるのもあって、結局何とかしましょう、と言う事になりました。
日々の仕事が、例外なく傷跡をどれだけきれいに出来るか、目立たなく出来るか、って事をしているので、目立った傷跡を残す、と言うのは意外と骨が折れます。
まして、そんな施術が当院の手術範疇にはなく、費用を頂く訳にもいかず、でした。
今後しばらくは、その経過で来院していただく事になるのですが、やはり決して気持ちのよいものではありませんね。
何より、少しでもきれいに、と言う発想のほうにしかなかなか脳は働いてくれませんので。