院長日記

第81話 鼻の手術の失敗例あれこれ


「手術後の経過がおもわしくなくて、、、」とのご相談で来院される方の多さは、相も変わらずです。
そのほとんどが、手術適応の時点で間違っているんじゃないの?と思われるものですが、何故そのような事になるのかと言いますと、恐らくは次の二つではないでしょうか。
1:受診者のご希望をそのままに治療をおすすめする
例えば、無理な幅の二重瞼をご希望どおりに作製するような場合ですが、その結果、当然なのですが不自然な目になりますし、すぐに元にもどります(幾ら切開してでも)。
つまり、患者満足度は度外視しているか、始めっからそんな意識がないのか。
2:出来るだけ高コストの手術へ誘導する。
これも当然患者満足度なんて意識ははなっからないようです(チェーン展開している施設、売上げノルマを課している施設に多いようです)。
当然、医者の腕の善し悪しはあるでしょうが、それ以前の次元の、残念ながら上記のようなところかと思います。二重まぶた等の目の周りの手術についてはよく書いていますので、今回は鼻の手術について、よくみかける例をご紹介しておきます。
●鼻を高くする目的で挿入したインプラントが手で触ると動く、曲がって見える場合
ほとんどの場合、適切な位置(大事なのはその深さですが)に挿入されていないのが原因ですが、インプラント自体の形状に問題がある場合もあります。それと、日本人の多くは、あまり大きくなくて、それでいて細く見えるような鼻を好まれますので、インプラントが大き過ぎる、横に広がりすぎている場合も多く、それを抜去しただけで、よほどよくなっている(結局は受けられた手術に何の意味も無かった事になりますが)のをよく経験します。
●インプラントの挿入によって鼻先が固い場合
L字型のインプラントを挿入して鼻先を高く尖らせる事自体は簡単なのですが、日本人の鼻先の皮膚の下には汗や油を作る分泌腺が多く、これらはとても脆い組織ですので、インプラントによって鼻先を上へ持ち上げる力が強いと簡単に皮膚へのダメージが加わりますので、いずれ赤みが出て来て、最悪鼻先からインプラントが露出してきます。
●鼻先を細く、高く、長くするような手術の場合
手術には幾つかの方法がありますが、軟骨(耳の軟骨を利用する場合が圧倒的に多いと思います)を移植する手術を受けられて、形がどうも歪であると来院される方もおられますが、これの修正はかなり簡単なのですが、所謂オープン法といって鼻先の皮膚を剥がして移植している場合、鼻先から鼻柱にかけての部分が全く動かなくカチカチになっておられる方を見かけます。 このような場合、硬さと形態を確認しながら少しずつ移植軟骨を取り除いていくのですが、皮膚を一旦剥がしているので、癒着が強かったり、瘢痕組織が原因で手こずる(完全な状態までは戻してあげれない)事もあります。
●大きい鼻を小さくする手術の場合
所謂整鼻術(骨切り手術を伴うもの)については、術後トラブルを見かける事は少なく、恐らくは、上記のような手術に比べてその需要が少ない事と、経験の少ない医者はあまりやらない手術であるのがその故かと思います。
●鼻翼部を小さくする手術、鼻の穴を小さくする手術の場合
こうした手術の場合、傷跡が目立つ、ほとんど変化がなかった、のいずれかがほとんどです。前者は手術手技の問題で、後者は手術適応あるいは手術方法の選択の問題かと思います。
●鼻の下を短くする手術や、所謂ガミースマイルの修正手術(幾つもの方法があります)、鼻唇角の修正手術等々の場合
これらの術後トラブルも少ないように思います。その原因は、整鼻術の場合と同じように思います。
●鼻尖軟骨を小さくしたり、その形状を変化させる事で、鼻先を細くする手術の場合
最近非常に簡便に行えるような手術が喧伝されているのもあって、トラブルは増えているように思います。ただ、修正は概ね簡単に行えるかと思います。