昨日、共同通信から以下のニュースがありました。
乳房再建中断、3千人超 自主回収の影響、学会調査
9/21(土) 19:51配信
乳がん手術後の再建に使われる人工乳房が、副作用の報告で自主回収になった影響で、再建前に使う拡張器を体内に入れたまま治療の中断を迫られている患者が3千人以上に上るとの調査結果を、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が21日までにまとめた。
この人工乳房は、流通している中では国内で唯一の保険対象製品で、患者団体は早急に他社製品を保険適用するなどの打開策を求めている。
学会は8月上旬、乳房再建を行う医療機関に調査し、414施設から回答があった。再建前に皮膚を伸ばす拡張器を挿入する治療を受けている患者は3493人いた。
自主回収から2ヶ月以上経過していますが、このシリコンバッグはアラガン社の製品で、表面がザラザラした形状のもの(テクスチャードタイプ)です。
このテクスチャードタイプのシリコンバッグの使用者で、乳がんとは無関係なリンパ腫での死者が世界で10人以上確認されていて、7月にアメリカ食品医薬局(FDA)が自主回収を要請したものに依る措置です。
当院でも開院以来、豊胸手術を相当数手掛けてきましたが、表面がザラザラしたシリコンバッグの優位性が全く理解できなかったのと、手術痕を出来るだけ小さくしたかったのが理由で、表面がツルツルしたシリコンバッグ(スムースタイプ)しか使用してきませんでした。
テクスチャードタイプのシリコンバッグによるリンパ腫発生の因果関係については、未だ何もわかってはいないようですが、シリコンバッグによる乳房再建手術のために乳房に拡張器を入れたままの患者さん達にとっては堪ったものではありませんね。
また、乳房再建手術ではなくて、美容目的のみで挿入している上記のシリコンバッグは3千例どころか、桁違いに多い筈で、これらの措置は今後どうしていくのでしょうか。
リンパ腫との因果関係は結局なかった、という結論を祈るしかありません。