院長日記

第27話 アンチエイジングってどう言う事?


抗加齢医学なるものが花盛りのようですが、どうも若返りのイメージが先行しているようです。老化に逆らう事、つまり若返る事など不可能と言うか、実はあり得ない事で、せいぜい多少なりとも老化を遅らせる事に皆が血眼をあげているのが現状だと思います。
わたしども美容外科の領域では、形態の改善(鼻の形や、目の形、顔の輪郭等)から、シワやたるみ、シミ等の、当然誰にも(遅かれ早かれ)現われる老化現象の改善へと大きくシフトしていますし、内分泌の分野では、成長ホルモンを中心に、その補充療法が行われています(まだまだの感は強いのですが)。
サプリメントや基礎化粧品にいたっては、もう訳がわからないほどの情報が氾濫しています(多くのものが上面だけの、何の根拠もない、実は何の役にもたっていなかったりするのですが)。
病気と呼ばれるものも、そのほとんどが老化現象であるので(遺伝的なもの、感染症等、一部そうでないものはありますが)、一般の医療も大きな意味ではアンチエイジングと言える訳で、この領域でも、医者の関心はほとんどが、遺伝や免疫に向かっており、更にアンチエイジングの度合いを増しているように思えます。
いつまでも健康でいたい、長生きしたい、他の人よりも若々しくいたい、これが大多数の人間心理である以上、上記の流れはまだまだ加速していくようです。
ただ、これは単なる私の予感にすぎませんが、おそらくはこのような莫大なエネルギーの大半は無駄に終わるような気がしてならず、アンチエイジングもほどほどに、できれば、たのしく有意義に、自然の摂理にそう逆らわずに老化していくハッピーエイジング(うまい言葉が見つからずあしからず)がいいのになあ、と思います。