院長日記

第35話 切らずにタルミは解消されるか その2


加齢によって頬が少しずつタルんでくる、もうこれはどうしようもない老化なんだけれど、これを何とか改善しようとなると、基本的には筋肉(表情筋)のタルミが原因なので、この筋肉の弛んだ分だけ上方向へ引き上げる以外にはなく、フェースリフトと呼ばれる手術を受けていただく以外にはありませんでした。
でした、と云うのは、タルミを改善できると称するレーザー機器が登場したからではありません。この手のレーザー機器で、満足のいく結果が得られるとは全く思わない(以前にも何回か書きましたが)し、明らかにタルミが改善したと言われる方を今だ診たことがないし、逆にほとんど何も変わらなかった、と言われる方は多く診ている訳です。
コラーゲンが増える、皮下組織が収縮する、など、それでどれだけタルミが改善するのか、やっぱり甚だ疑問で、巷のエステティックサロンでの施術とどれほどの違いがあるのか、私には今だよく判りません。
フェースリフトを希望されて来院される方の中に、実はもっと簡単に(大きく切開して、ダウンタイムが長い治療法に比べて)結果を出せる方法をお勧めする場合が、当院では多くなっています。
先々週の事ですが、アプトスなどの糸を使うような手術は効果がないので嫌なので、ちゃんと切って手術して欲しい、と言われる60代の女性の方が来院されました。
診ると、大きなタルミのある方ではなく、当院でおこなっているフェザーリフトで十分満足してもらえる方だと判断したのですが、本当にフェースリフトと同じようにタルミがなくなるの?、と、かなり診察に苦労したのですが、費用の事も含めて、何が一番よいのかを正直に説明する以外にはなく、その方は、よくならなかったら責任とってもらうから(ほとんど冗談ですが)と、結局フェザーリフトを受けられました。
今日、その結果を診せに来院されたのですが、責任をとるような事態にはなりませんでした(当たり前なんですが)。
少なくとも当院では、むやみに大きな傷をつける手術は、確実に居場所が悪くなってきています。