院長日記

第53話 スタンダードな治療法って?


1週間に数人程度の頻度ですが、ニキビ治療で、幾つかの施設で幾つかの治療を受けられてきて、一向に改善しないので診て欲しい、と来院される方がいます。
ほとんどの方がほぼ同じような治療を経験されています。
一般的な皮膚科で抗生剤と消毒液を処方されて、漢方薬を長く服用されて、その後、美容皮膚科と称する施設でケミカルピーリングを何度か受けられて、幾つかのレーザー治療(正確にはレーザー以外の高周波やラジオ波などの治療機器も含みますが)も受けられてきて、結局は改善していない(治っていない)というものです。
ニキビに関しては、別のところで詳しく書いているのでそちらを参照していただくとして、どうしてこういう事が起こるのでしょうか。
ニキビ自体がそう一筋縄ではいかない場合が多いので、このスタンダードな治療法でほぼ片が付く、というものではないのですが、大きな原因のひとつに、やはり商業主義に走りすぎ、という側面があるように思います。
新しい治療法に飛びつく消費者心理と、新しい治療法を闇雲に勧める(治療機器の償却の問題もあったりして)医者がいて、という訳です。
この症状にはこの治療でほぼ解決、であればまあ簡単でラクではあるのですが、二重瞼の手術ひとつとっても、バリエーションは多くて、実際私の経験でも、3万例も手術をこなしてきてやっと判ってきた事もあったりして、そうラクなものではありません。 美容外科の場合、医療保険外治療であるので厚生労働省の思惑は入りにくく、それ故、どこそこの大学の偉い先生主導のスタンダードな治療ってのは存在しにくい(よい面のほうが多いと思いますが)ので、尚更やりたい放題の側面はあると思います。
ニキビが、何故そのような治療で改善しなかったのか、何故そのような治療をその医者は勧めたのか、ひとつずつ説明していくのですが(当然、私の判る範囲でですが)、上記のような背景があるので、いつもながらですが、賢い消費者であって欲しいと思います。
スタンダードな治療があったとして、でもそれが最善であるかは別問題で、更に消費者の方にとっては判り辛い面ではありますが。