院長日記

第97話 鼻の手術における注意点


26年前の開業当初より、圧倒的に二重瞼の手術需要が多く今日に至っていますが、ここ数年前より鼻に関する手術需要が急増しているようです。
当院の受診者の傾向から、他院での修正手術が圧倒的に多いこともあって、表題どおり、鼻に関する手術においてぜひ留意して頂きたい点を書く事にします。

1:鼻先へのインプラント(プロテーゼ)の挿入について

所謂L字型と呼ばれるインプラントが主になりますが、鼻先の皮下組織は非常に脆く、異物による長期に渡る圧によって鼻先の皮膚までダメージが及ぶ可能性が高いため、この部位へのインプラントの挿入は控える事です(L字型のインプラントを使用すると鼻先の形態を作ることは簡単なのですが)。

2:ヒアルロン酸注入について

これについては何度か書いてきましたが、鼻根部を少し高くほっそり見せる目的であれば非常に良い方法だと思いますが、深く入れ過ぎない事、必要以上の量を注入しない事が重要です。
鼻先の高さを出す目的では使用しない方が良いと思います(実際ほとんど変化は出せませんので)。
使用する注入剤については何度も書いていますのでご参照下さい。

3:骨や軟骨を利用した隆鼻術について

インプラント(プロテーゼ)の危険性を煽って上記手術を推奨しているような施設があるようですが、術後経過で困っている方を多く診ている身からは、ほぼ例外なくインプラントで十分な方ばかりなので、やはり自家組織の利用は鼻先にしておくべきかと思います(当然例外はありますが)。

4:鼻先を細く、高くするためのオープンメソッドについて

これは鼻先の軟骨を操作するために、鼻先の皮膚を剥離して直接目で見える状態にして行う方法ですが、この手術を受けられた方の術後経過で困っておられる方も多く見受けます。
外から見える(目立つ)部位に傷跡が残りますので、これを見据えて尚この術式が勝るような方以外は、控えた方が良いように思います。

5:鼻腔を狭く(小鼻を小さく)する手術について

この手術の経過で来院される方が一番多いのですが、ほとんどの場合、鼻翼部分の切除範囲の問題と傷跡の経過に関するものです。
まずその適応を見抜く事と、この手術によって相対的に鼻先が目立つようにならない切除範囲の見極めが重要かと思います。
その他まだまだお伝えしたい事は多数ですが、取り敢えず診療現場で多く遭遇するものを書いてみました。
ご参考になれば幸いです。