診療情報

【その9】 “再生療法”の選択の幅が拡がりました。 [2009/1/24]


2008年度より、当院でも再生医療を応用した美容治療に取り組んできました。その間、幾つかの改良を加え、その効果も更によくなってきましたのと、その応用範囲も拡がってきました。
ひとつは、ご自身の血液を精製し、老化した皮膚、皮下組織へ注入する方法ですが、これは前回にもお伝えしたように、TGF(形質転換成長因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、EGF(上皮増殖因子)、KGF(角化細胞増殖因子)、PDGF(血小板由来増殖因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)などの成長因子を利用する事で皮膚を再生させよう、と言うものです。
基本的な治療理論自体は大きく変化していませんが、精製法の改良で治療効果とその応用範囲は間違いなくよくなっています。治療開始時より相当数の症例数になりましたが、非常に満足度の高い治療法かと思います。
もうひとつは、ご自身の肌細胞(線維芽細胞)の培養注入療法ですが、簡単に説明しますと、ご自身の皮膚(耳の皮膚)や口の中の粘膜をほんの一部摂取し、線維芽細胞を一ヶ月近くかけて相当数増やし、老化した(痛んだ肌細胞、減少した肌細胞)皮膚へ注入する方法です。
こちらも改良が何度もなされています。今後は、恐らくはこの治療法がまだまだ進化していくように思っています。
これらふたつの再生療法の大きな特徴は、基礎研究がなされ、臨床データに基づいた治療法であり、その安全性がとても高いこと、それと、治療効果が非常に自然に現れる事です。
関心がございましたら、“院長日記 第56話 自己血液を利用した再生医療について” も合わせてご参考になさって下さい。