ひと月ほど前の事ですが、ある形成外科専門医である(私よりも大先輩である)女性ドクターから突然の電話を頂きました。
全く面識のないドクターで、最初は何の事かと思いましたが、、、。
長らく形成外科で開業されてこられた方で、近く学会での演題を二つ引き受けていて、当HP記載の文面を拝借してよいか云々、との事でした。お話を伺うに、今の形成外科開業医に相当お怒りのようで、「本来の仕事はどうなっているの?」との本心が伝わってきました。
かなり昔に書いた、院長日記(第16話 ドクターズコスメのいかがわしさ【2003/12/11】)の以下の文面でした。
『そこで今回のドクターズコスメとやらですが、医者が化粧品成分を開発している訳でなく、配合を医学的に決める訳でもなく(化粧品成分などは元来ほぼ決められているし、配合も自ずと決まってきますから)、それなら何なの、と言う事になります。実際はこの程度の事なので、上記の如く、やはり売らんがため、と言わざるをえないでしょうね。医者と言うブランドで売ろうとする結果、逆に医者の信用を落とす事にならないかと心配なんですが。』
美容外科学会という同名の学会が二つ存在する事は依然にも何回か書きました(第1話 日本美容外科学会が二つ?【2003/7/3】)。
今だにこの状況は変わらず、ですが、厚生労働省はどうも美容外科を何とか組み敷こうとしているのかどうか、合併話が進み始めています。
さてさてどのような方向に進むのかどうかは判りませんが、、、。
ただ思うのは、この国に蔓延している“規制と裁量権の組み合わせ”だけは勘弁して欲しいし、まして自費診療の世界でもあるし、消費者保護のためであればやはり罰則だけはちゃんと強化して欲しいと思います。
ややこしい話はさておき、、、
美容と称するメニュー(エステサロンのような)ばかりを行う皮膚科医はべら棒に増えているし、上記のドクターお怒りのほとんど美容外科しかやらない形成外科医(需要がそうなので仕方ないのでしょうが)だらけになっています。
「皮膚科医なんだから、脱毛なんかやってないでアトピー性皮膚炎で悩んでいる患者さんを助けてあげてよ!、もっと専門職の勉強してよ!」とは私も常々思う事ですが、でもこのような方向性は多分変えられない(変わらない)し、自然淘汰されるかどうかは消費者次第だし、だからこそ罰則だけは相当強化するしかないと思います。