院長日記

第82話 鼻の修正手術の紹介


前回、鼻の手術でよくみる失敗例について書きましたが、今月に入って経験した症例を二つ、ご紹介しておきます。
《1例目》
27歳の女性。
4年前に某クリニックでエンドプロテーゼを挿入され、プニプニしている感じが不自然で、少しずつ硬くなってきたのと、3カ所に膨らみが出て来たので、不安で仕方なく、診てもらえないだろうかと来院されました。
診察させて頂いたところ、鼻根部が大きく硬く盛り上がっていて、鼻背部にも2カ所、硬く不自然に膨らんでいました。
エンドプロテーゼでのトラブルは最近急速に増えています。
簡単に注入出来て、しかも半永久的だとの謳い文句のようですが、恐らくは、この注入剤による方法は遅かれ早かれなくなるかと思います。きれいに仕上がるはずがないので。
後日、上記の方の手術を行いました。
インプラントの挿入のために右側の鼻の穴の中を1cmほど切開するのですが、この切開部から、皮膜に覆われてカチカチになっていた部分から、何とか全てのエンドプロテーゼを取り出す事が出来ました。
画像は、取り出したエンドプラストの一部です。こまかな寒天状のものです。
《2例目》
22歳の男性。
3年前に某クリニック(1例目と同じクリニックでした)で目の周りの手術(この手術も酷いのですが、ここでは省略します)と、鼻へのインプラントの挿入、鼻中隔延長術(オープン法で)を受けたところ、インプラントが浮いたように見えるのと、左側の鼻の穴からインプラントが出てきそうになっているのと、鼻全体がプラスチックのように硬くて全く動かない(指で抑えてもまったく動かないし、皮膚の移動も全く無い)ので、何度もその経過を診せに行くも、何も出来ない、再手術をするともっと酷くなると言われるばかりでどうしようもなかったようで、メールを何度か頂いた上で来院されました。
どうしてこのような手術を行うのか、全くもって理解に苦しみますが、何とか元の状態に戻したいとのご本人のご希望でしたので、インプラントを取り除き、左の鼻の穴の皮膚を押し付けていた軟性の鼻中隔を取り除き、鼻先の硬さと前方への不自然な膨らみが改善されるまで、挿入されている耳介軟骨を少しずつ取り除きました(全て完璧に取り除く事は不可能ですが、鼻先の形態が不自然にならないようには留意しながら、硬さを確認しながら)。
修正手術のご依頼は相変わらず多いのですが、酷い手術だなあ、あまりにも下手糞な手術だなあ、というのは大抵が同じ施設、同じ医者ですので、全ての美容外科医が酷い訳ではありませんので誤解なさらないで下さい。
上手で親切なドクターもたくさんいますので。