院長日記

第49話 困った患者さんと困った美容外科医(後半)


美容外科や美容目的の皮膚科(美容皮膚科という名称は存在しないので)で治療を受けたんだけれど、説明どおりの治療結果が得られていない、これこれしかじかの説明を受けたんだけれど、それは本当ですか、と言った患者さんは間違いなく増えてきています。
前半でお話した患者さんですが、その後、幾つかの美容外科を受診されて、ヒアルロン酸を分解する酵素を注射していて、更に再度ヒアルロン酸の注入治療を受けられていました。
その後、当院を再々度受診されるのですが、最初に当院で受けたヒアルロン酸注入での結果がよかったので、もう一度治療を受けたい、というものでした。
詳しくお伺いすると、当院で使用しているヒアルロン酸をそのような目的で使うのはおかしい、注射器で除去する事など出来ない、そう説明されたとの事。
何故そのような説明をするのか、についてはほぼ推察出来るのですが、使用経験がない、その治療法の歴史(どうしてそのような治療法が一般的におこなわれるようになってきたのか等)を知らない、自分の行っている治療以外は否定する(低レベルの営業感覚ですが)、まあこのあたりが多いんだと思います。
ただし、このような事は、消費者の方にとってはマイナスなだけでしかなく、決して有益なものではありません。
それともう一つ、皮膚科を開業している傍ら、その隣のスペース等で美容外科まがいの事を行う施設が増えてきました。これを否定するつもりは全くないのですが、従来の保険診療の延長で安易に自費診療が行われているように思えて仕方ありません。
ニキビ治療やアトピー治療、アレルギー疾患など、それほど説明責任を問われる事はなかったでしょうし、別段よくならなくてもそれで通っていた面はあると思うのですが、自費診療となるとそうはいきません。
消費者の方も、従来の保険診療と同じような感覚で(安心して)治療を受けられていると、思わぬ落とし穴が多々あると思います。
現に、そういう例を診る事が増えています。
当の患者さんに話しはもどりますが、出来る限りの説明責任は果たしたのですが、十分理解していただいているとは到底思えず、治療はお断りさせていただきました。