院長日記

第55話 美容外科で使用しているヒアルロン酸について


●シワの治療で某美容外科を受診したところ、「一ヶ月でなくなるヒアルロン酸と3ヶ月でなくなるヒアルロン酸がありますが、どちらにしますか?」と選択をせまられたのですが、、、。
●某(美容)皮膚科で、目の下にヒアルロン酸を注入していますが、2週間もすれば元に戻るので、かれこれ2年近く、毎月注入しているのですが、そちらのヒアルロン酸はどうして1年とか2年とかもつのですか?。
上記のような問い合わせが、昨年あたりから急増しています。
元来、美容目的で使用出来るものはコラーゲン製剤のみでしたが、今ではヒアルロン酸がそれにほとんど取って代わっている、その用途も大きく拡がっている、のが現状です。
眼科や整形外科領域では、ヒアルロン酸は更に古くより利用されていますが、美容目的で使用出来るヒアルロン酸は、液状のものではなくて、シワや凹みの修正を行う必要から、ゲル状の、吸収過程を遅らせたもので、欧州製のものがほとんどです。
ヒアルロン酸は、加水分解を起こして、最後は炭酸ガスと水になって吸収されてしまうのですが、美容目的で開発されたものは、その加水分解を遅らせる特性を持たせています。
欧州では、かなり古くより、数日から一週間程度は有効な注入剤(酪酸等、これも幾つかの種類がありましたが)が存在していましたが、日本ではほとんど受け入れられませんでした。
そこで最初の話に戻るのですが、 美容目的で開発されたヒアルロン酸の場合、その注入の仕方が、意外とそう簡単なものではなくて、それなりの経験を要するので、安易に手を出すとクレームになり易く、また、美容外科業界の凄まじいディスカウント合戦もあって、非常に安価な、整形外科領域で使用するヒアルロン酸を使用する(または混ぜて使用する)医者が一部で増えている、というのが実情だと思います。
ヒアルロン酸注入の治療を受けられる場合、どういう種類のヒアルロン酸を使用するのか、その特性はどのようなもので、持続期間はどの程度なのか、等はしっかり確認しておかれたほうがよいと思います。