院長日記

第66話 豊胸手術後のトラブルあれこれ


この院長日記で、豊胸手術に関して何度か書いてきましたが、今だ、トラブルを抱えて困って来院される方が後を絶ちません。
今回もまた、そのような症例の話です。
3年ほど前に、某美容外科クリニック(“今までのバッグとは異次元の紡錘型アナトミカルバッグ、仕上がりの自然さを追求したアシメトリーバッグ”などと誇張した宣伝文句を掲げていたようですが)で、豊胸手術を受けられた方の話です。
手術後より、左右の形態の違い(不自然さ)を訴えるも、様子を見るようにと言われるばかりで、いつしかそのクリニックは閉院していたそうです。
右のバストは乳頭の外側方向へ突き出たような形になっており、両側とも、非常に硬い状態でした。
バッグを取り出すのは簡単な事ですが、その後のバストのタルミが相当強く出そうな症例でした(手術後の経過で、皮膚が相当引き延ばされているのもあって)ので、少しでもタルミを改善したいと強く望まれてもおられたので、乳輪周囲の切開を行って、同時にタルミの解消も図る手術プランで行いました。
下記の画像が、取り出したシリコンバッグですが、左右いずれもが変形しており、一部内容物が浸み出ていました。
抜去したシリコンバック
破損したシリコンバック
アシメトリー、アナトミカルと言いながら変形しているし、更には、挿入位置がちゃんとした部位でなく、これではどうしようもないですね。
昔、一時的に多く行われた生理食塩水バッグで、既定よりも少ない注入量しか入っておらずに、バッグが折れ曲がって破れている症例は山ほど診ましたが、このようなシリコンバッグの変形も最近多いように思います(いずれもほとんどの場合、執刀医の腕の問題ですが)。
次に、ヒアルロン酸注入による豊胸手術後のトラブルですが、これはほとんどがその注入場所によると思います。
詳しくはまたの機会に書きますが、近頃やたら目につく、脂肪移植(幹細胞がどうのこうの、PPP、成長因子添加などでいかにも付加価値をアピールしている様な類いのもの)で、今後、恐らくトラブルが増えてきそうな気がしてなりません。