診療情報

【その5】 脂肪溶解注射について [2005/8/8]


1952年、フランスボルドー大学のDr Michel Pistorによって開発されたメソセラピーと呼ばれる治療法があります。その原理は、簡単に言えば、患部の上にある皮膚や皮下に、薬剤を注射で投与すると言うものです。その疾患によって有効な薬剤の組み合わせがあるようで、欧州や南米の一部で行われています。
この手法を利用して、肥満を改善する目的で、幾つかの薬剤を組み合わせたものを注射する手法が、最近日本でも盛んになってきました。
このメソセラピーで、肥満の改善目的で使用される薬剤には、ヒアルロニダーゼ、アミノフィリン、マンニトール、カフェイン、フォスファチジルコリン、ルチン、L-カルニチン等があり、組み合わせも様々です。
脂肪溶解注射と呼ばれる物は、フォスファチジルコリンが主なもので、以前は日本でも新生児の肺疾患等で使用していました。作用機序は、簡単に言えば、付着した組織膜(ここでは脂肪細胞ですが)の表面張力を下げて、なかの脂肪(オイル成分)を排出させる、といったものです。その後の吸収過程を手助けさせる目的で、幾つかの薬剤を組み合わせる場合が多いようです。
ただ、この手法については、完全に確立されたものとは言い難く、まだまだ研究の価値はあるようです。
当院でも、昨年末より、上記のフォスファチジルコリンを主体にした、メソセラピーをおこなっています。