院長日記

第18話 切らずにタルミは解消されるか?


シワやタルミを目立たなくする方法は、そのシワなどの部位や深さによって幾つかの方法はあるのでしょうが、根本的にそのタルミを改善させるとなると、所謂フェースリフトと呼ばれる、たるんだ皮膚、筋肉を持ち上げる手術が必要になります。当然、弛んだ(余分な)筋肉や皮膚を取り除く必要があるので、メスをいれる、つまり切り取る事になります。非常に満足度の高い治療法ですが(その適応や、傷跡の処理等、その医者の腕に拠るところはかなり大きいのですが)、ただ、できるだけ簡易な方法でタルミを解消したい(できれば切らずに)と言う要望は非常に強く、それもあってか、昨今どこか魔法のような手技が喧伝されてきています。
ロシアンリフト、フェザーリフト(アプトス、ワプトスとか言われるもの)、ケーブルスーチャー等を指しますが、今回は、この手のものの現状を説明してみます。
原理はいずれもいたって簡単で、特殊な糸を弛んだ部分に埋め込んで、そのあたりの組織の収縮を促す、膠原線維の増加を促すと言ったものと、糸で皮下の組織(脂肪塊や筋膜)を吊り上げて、固定すると言ったものに分けられます。
前者がフェザーリフト、ロシアンリフトなどと呼ばれているもので、吸収糸に金を付着させた糸や、ポリプロピレンの糸に小さな突起物を付着させたものや、毛張りのような形状のものが使われています。後者が、ケーブルスーチャーと呼ばれるもので、主に中顔面の吊り上げを目的に、ナイロン糸を使用しています。
いずれもが非常に面白い発想ではありますが、まだまだ、フェースリフトにとって変わるような代物ではなく、まして、何の変化もなかった等のクレームが続出している現状をみると、これもいつもながらの、消費者の方の期待度とのギャップが大きいと言わざるを得ません。また、満足な報告もほとんどない現在、この手の治療にはかなり慎重になっていただきたいと思います。
ただ、こう言う私もこの手の治療法には非常に関心があり、試行錯誤している現状で、簡易な方法で頬のタルミやこめかみのあたりのタルミが改善されないかと日夜頭をひねってはいるのですが。